ノウハウ

【不動産投資】家賃を5,000円下げても入居者を付けるべき理由とは?

不動産投資をしていると、必ず直面するのが**「家賃設定」の悩み**です。
特に空室期間が続くと、「もう少し家賃を下げたほうがいいのかな…?」と考える場面もあるでしょう。

しかし、多くの方は「家賃を下げる=利益が減る」というイメージから、なかなか踏み切れません。
私も最初はそうでした。

でも実際のところ、5,000円下げてでも早く入居者を付けるほうが、長期的には得になるケースが多いんです。

本記事では、その理由と具体的な数字での比較、さらに家賃を下げる判断のタイミングについてもお話します。
空室で悩んでいる方や、これから家賃設定をする方はぜひ参考にしてみてください😊

家賃を下げることは本当に損なのか?

「家賃を下げたら、その分の利益が減ってしまう…」
これは多くの大家さんが抱く、ある意味“本能的”な考え方です。

不動産投資を始めたばかりのころは、心理的にどうしてもこの家賃の値下げに踏み切れにくいものです。
しかし、長期的にみると必ずしも損と言うわけではありません。

確かに、単純計算で家賃5,000円を下げれば年間で6万円の収入減。
数字だけを見れば損に思えます。

しかし、不動産投資では**「空室期間」=収入ゼロ**という、もっと大きな損失があります。
仮に家賃5万円の部屋が1ヶ月空室になると、それだけで5万円の収入が吹き飛びます。
2ヶ月なら10万円、3ヶ月なら15万円…家賃を下げてでも早く埋めるほうが良い理由が見えてきます。

つまり、家賃を下げることは必ずしも「損」ではなく、
空室リスクを減らすための戦略的な投資と言えるのです。

家賃を下げてでも入居者を付けるメリット

家賃を下げることは、一見「収入を減らす行為」に見えます。
しかし、長期的に見れば安定した経営につながる大きなメリットがあります。

1. 長期空室リスクを減らせる

空室が続くほど、家賃収入はゼロのまま。
家賃を5,000円下げて1ヶ月早く入居が決まれば、実質的にはプラスになるケースが多いです。
長引く空室を防げれば、年間のトータル収入はむしろ増えることもあります。

2. キャッシュフローの安定化

毎月の家賃収入が途切れないことは、精神的な安心感にもつながります。
ローン返済や固定資産税、管理費などの固定支出は待ってくれないため、安定収入を確保することが最優先です。

空室が続くと、頭の中は「なんとか入居付けをしなければ」ということでいっぱいになってしまいます。
特に不動産投資を始めたばかりで、まだ1棟しか持っていない方は要注意。
購入や修繕で大金が出て行った直後に、家賃収入が入らない期間が続くと、
「夢に見ていた家賃収入での生活って…あれ、何だったんだ?」と打ちひしがれてしまいます(笑)

3. 周辺相場との競争力が一気に上がる

家賃を少し下げるだけで、同じエリア・同じ条件の物件より魅力的に見えるようになります。
特にポータルサイトでは、家賃順で並び替えをする入居希望者が多く、
わずか数千円の差で検索上位に表示されることもあります。

さらに、検索条件は5,000円単位で設定されている場合も多いです。
たとえば53,000円で募集するより、思い切って50,000円にしたほうが、
「5万円以下」や「〜5万円まで」の検索条件にヒットします。
少しでも入居希望者の目に触れるようにすることが、早期入居への近道です。

実際の数字で比較してみる

理屈では「家賃を下げたほうが得になることもある」と分かっても、
実際どれくらい差が出るのかは数字で見ないとイメージしづらいものです。

ここでは、家賃5万円の部屋を例に、
「5,000円下げて早く入居が決まった場合」と「家賃を下げずに空室が続いた場合」を比較してみます。

・家賃を5,000円下げた場合

家賃:45,000円
年間収入:45,000円 × 12ヶ月 = 540,000円

・家賃を下げずに6ヶ月空室が続いた場合

家賃:50,000円
入居期間:6ヶ月
年間収入:50,000円 × 6ヶ月 = 300,000円

・家賃を下げずに1年間空室が続いた場合

家賃:50,000円
入居期間:0ヶ月
年間収入:0円

しかも重要なのはここからです。
仮に1年後、やっと50,000円で入居者が決まったとしても、
すでに45,000円で貸していた場合と比べて540,000円もの収益差がついています。

では、この差額を月5,000円の家賃差で取り戻すには何年かかるでしょうか?
計算すると、540,000 ÷ 5,000 = 108ヶ月(9年)

…おわかりいただけましたか?(笑)
5,000円の値下げをしなかったことで、もとを取るのに9年もかかってしまうのです

これは私の中でも、とても大事にしている考え方の一つです。
皆さんもぜひ、この数字を参考に判断してみてください。

家賃を下げる判断をするタイミング

家賃を下げることは、思いつきや感覚で決めるのではなく、
「データ」と「状況」を見極めて行うべき戦略的判断です。

では、いつ家賃を下げればいいのか?
やみくもにどんどん値下げしていってもいいのか?
一度値下げしたらそれで終わりなのか?

こうした「時期・タイミング・頻度」に関する疑問は、多くの大家さんが抱える悩みです。
ここからは、それらを解消するための具体的な判断基準をお伝えします。

1. 周辺相場との差が大きいとき

同じエリア・間取り・築年数の物件と比べて、明らかに高い家賃設定になっている場合は要注意です。
ポータルサイトで検索し、近隣の最低家賃や平均家賃を調べてみましょう。
その差が5,000円以上あるなら、入居が決まりにくくなっている可能性が高いです。

2. 募集開始から一定期間決まらないとき

空室募集を開始してから2〜3ヶ月経っても内見や申し込みがない場合は、
市場のニーズと条件が合っていない可能性が高いです。
この時点で条件変更(家賃・初期費用・設備追加など)を検討するのが得策です。

また、どうしても早く決めたい場合は時期も考慮しましょう。
特に2〜3月の2ヶ月間は、会社の異動時期や新生活の準備で転居が多くなるタイミングです。
不動産会社にとっても年間で一番の繁忙期となります。

この時期に合わせて、さらに5,000円の値下げを行えば、
相場の中でより目立ち、早期入居につながる可能性が高まります。
これも戦略的な値下げの一つと言えるでしょう。

3. ターゲット層が限られているとき

間取りや立地によっては、そもそも需要が限られているケースもあります。
例えば単身向け物件で駅から遠い場合、駐車場付きのファミリー向けより競争力が低くなります。
この場合は、家賃調整が一番効果的な改善策になります。

特に30年以上の築古戸建てなどは、若い夫婦が入居してくれるケースは稀です(笑)
最初からターゲットがある程度決まっており、
50代以上の夫婦、外国の方、または社会的な援助を受けている方が主な候補になります。

そのため、周辺の家賃相場を見るときも、
自分の持っている戸建てとできるだけ条件が近い物件と比較することが重要です。
そうすることで、現実的な賃料設定が見えてきます。

まとめ

家賃を下げることは、一見すると「損」に見えますが、
実際には空室リスクを減らし、長期的な収益を守るための戦略です。

今回のポイントを振り返ると…

✅家賃を5,000円下げても、早期入居が決まれば年間収入は増える場合が多い

✅空室が長引くと、差額を取り戻すのに何年もかかるケースがある

✅値下げは「周辺相場」「募集期間」「ターゲット層」を見極めて行う

✅繁忙期に合わせた戦略的な値下げは効果的

不動産投資では、「高い家賃を守ること」よりも、
「空室を作らないこと」こそが最大の防御です。

気になる物件や、現在空室になっている物件があれば、
購入するしないに関わらず、ぜひ実質利回りを計算してみてください。
数字を見れば、最適な家賃設定や入居付けの戦略が自然と見えてきます。

数字は裏切りません。
そして、その数字をどう活かすかは、オーナーであるあなた次第です。
一歩踏み出せば、今より確実に安定した経営に近づきます。

この記事があなたの不動産投資への一助となれば幸いです。
ゆるりと行きましょう。